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計画停電と休業手当

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3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆様、心よりお見舞い申し上げます。

 

さて、福島原発事故の影響を受けて、東京23区を除く東京電力管内では、連日計画停電が実施されています。

 

この影響を受けて会社が休業した場合について、先日、厚生労働省から通達が出ました。

 

詳細はリンク先でご確認いただくとして、通達の要旨は、

 

①計画停電の時間帯での休業は休業手当の対象とならないこと

②計画停電の時間帯以外の時間も休業とする場合は、休業回避のための具体的措置や、計画停

 電の時間帯以外の時間帯も休業にすることの合理性などを総合的に勘案して決定すること

③計画停電が予定されていたため休業としたが、結局、停電しなかった場合は、計画変更の内

 容や公表の時期などを勘案して決定すること

 

となっています。

 

つまり、計画停電の時間帯の休業は文句なく休業手当の支払いは不要だけど、それ以外の時間帯を休業とした場合は、その休業の合理性が問われることになるようです。

 

例えば、

計画停電により鉄道が運休し欠勤者が多く業務に支障が出る場合、

会社が動いているため無理に出社する社員がいてその出社に危険が及ぶと考ええられる場合

計画停電により通常の業務ができない場合

などは、休業手当の対象とならないと考えます。

 

他にも、燃料が調達できないために休業したような場合は、調達のためにどれだけ頑張ったかが問われるでしょうし、大規模商業施設が休業した場合にテナントも休業せざるを得ない場合は、他の店舗に一時的に異動させることの可否や母屋が休業を発表した時期などによって支払いの判断が違ってくると考えます。

 

ただし、上記は私案ですので、正確には行政に確認してください。

 

 

参考として、以下に、行政通達や判例を載せておきます。

 

●国家統制経済や宮殿に伴うもの(昭26.10.11基発696号)

●法令の検査に伴うもの(昭223.3.17基発461号)

●正当なロックアウトに伴うもの(昭23.6.16基収1935号)

などが、休業手当の支払いは不要とする行政通達です。

 

一方、

●監督官庁の勧告に基づく操業短縮(昭23.6.16基収1935号)

●単なる材料不足や経営難や資材不足等による休業(昭23.6.11基収1998号)

などが、休業手当の支払いを必要とする行政通達です。

 

裁判例でも、

●経営困難による営業停止(東京高裁判昭28.3.23松崎建設事件)

●停電日(大阪地裁判昭28.6.12渡部製作所事件)

●部分スト(最判昭62.7.17ノース・ウエスト航空事件)

●会社の倒産(東京地裁判昭51.12.14東洋ホーム事件)

●天気予報による工事の中止(東京地裁判平12.2.23最上建設事件)

などによる休業は、休業手当の支払いが不要と判断されています。

 

しかし、

●経営者の拙劣(仙台高裁判昭24.10.8帝国金属工業事件)

●金融難などによる経営障害(東京地裁判決昭25.8.10国際産業事件)

●関連企業の争議(熊本地八代支決昭37.11.27扇興運輸事件)

●違法なロックアウト(大阪地決昭30.12.17カルケット食品事件)

などによる休業では、休業手当の支払いが必要とされています。

 

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